◆平成23年12月8日
【裁判員裁判は合憲とする最高裁判決について】
  平成23年11月16日、フィリピン人女性による覚せい剤取締法違反事件の上告審で、弁護側は、裁判員裁判が「下級裁判所の裁判官は内閣で任命する」(憲法80条)に違反するなどとして、実刑判決の破棄を求めていましたが、最高裁大法廷は、裁判員裁判は合憲であるとの初判断を示しました。
  これまで、高裁レベルでは、裁判員裁判制度は合憲であるとの判断が出される一方、法学者や弁護士からは裁判員裁判の制度について、下級裁判所の裁判官は内閣が任命すると定めた憲法80条1項に違反するなどの違憲論が出ており、今回の最高裁判決によりこの問題に決着がつけられる形となりました。
  最高裁は、「刑事裁判に国民が参加して民主的基盤の強化を図ることと,憲法の定める人権保障を全うしつつ適正な刑事裁判を実現することは相容れないものではない」、「憲法は、国民の司法参加を禁じているとは解釈されない」、「適正な裁判は十分保障され、被告人の権利保護も配慮されており、憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上での支障はない」などと判示しました。

【過払金返還に関する最高裁判決】
  平成23年12月1日、最高裁第1小法廷は、債務者(借主)が消費者金融業者に対し、年5%の利息を上乗せして過払金返還を求めた2件の訴訟の上告審において、「貸付時に業者が返済期間や返済金額を記載した書面を債務者に渡さなかった場合は、過払い金は利息を含めて支払うべき」であるとする判断を示し、年5%の利息を含めた過払い金の返還義務を認めました。
  最高裁は、平成17年に,貸金業者は貸付時に返済期間や返済金額を記載した書面を交付する義務があるとの原則を示し、それ以降、同書面が交付される扱いが一般的になっていました。また、最高裁は、平成19年に、特段の事情がない限り、貸金業者は過払発生時から利息を支払う必要があるとの判断を示しました。
  本件では、平成17年以前から継続する貸し付けが対象となっており、上記書面の不交付が「特段の事情」に当たるか争いとなっていましたが、平成17年の最高裁判決以前の貸付であっても、上記書面の不交付は特段の事情に当たらないと判断されました。

◆平成23年10月5日
【婚外子の相続差別について】
  平成23年8月24日、大阪高裁で、非嫡出子(婚外子。結婚していない男女の間で産まれた子)の相続分を嫡出子(法律上の夫婦の間に産まれた子)の2分の1とする民法の規定(900条4号但書)は法の下の平等に反し,違憲であるとの決定が出されました。
  同規定については、最高裁が、平成7年に合憲判断を下していました(最大決平7.7.5)(なお、15名の裁判官の内、5名が「違憲」とする反対意見を述べました)。昨年7月にも、最高裁では、同種の事件の特別抗告審が、小法廷から、憲法判断や判例変更を行う際に開く大法廷に審理を回付されていましたが、当事者間で和解が成立し、大法廷での判断はなされませんでした。
  今後、同種の事案が最高裁で判断されることになれば、平成7年の判例が変更される可能性もあると考えられます。

◆平成23年9月19日
【新司法試験の合格者発表】
平成23年9月8日 平成23年度新司法試験の最終合格者の発表がありました。受験者数8765名(出願者数1万1891名)に対し、合格者数は2063名。合格率は約23.5%でした。

【民法(債権関係)の改正について】
現在、法務省の法制審議会民法(債権関係)部会において,国民の生活や経済活動にとって重要な影響を与える民法(債権関係)の大改正について議論がなされています。同部会が平成23年4月11日に決定した「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」に関し、日弁連は、「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理に対する意見」を平成23年9月15日付で取りまとめ、法務省に提出しました(同意見については日弁連のホームページに掲載されています)。